遭遇

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管理局X-FILE No00256389「アースラ乗員消失事件」

第7話「遭遇」





管理局X-FILE No00256389「アースラ乗員消失事件」⑦


前回まで
"アレ"を迎え撃つはずが先手を取られた過去の生存者達。
次々に仲間を失い進退極まった彼らの救援要請を送るという言葉を聞いたその時、
「私」は今まさに我々がいるこの場所に向かってくる奴の姿を見てしまった。


部屋を出るとその足で格納庫へと走りながら私は格納庫の小型艇で待機している部下に呼びかけた。
私「E班!聞こえるか!すぐに発進準備をしろ!脱出する!」
部下E「隊長?どうしたんですか?」
私「アースラを襲った襲撃者の姿を確認した!現状では有効な対処法が無い!一時撤退だ!」
部下E「隊長?どうしたんですか?」
私「聞こえなかったか!すぐに脱出準備……を……」
格納庫まであと10メートルという距離で私は胸に剣先を突き付けられたような感覚に襲われた。
アースラに来たのは私率いるA班を含め1班6人構成のE班まで。
つまり識別コードは私を除いて29の反応が無ければならない。
だが今、識別コードの発信を伝えるはずの端末画面は、
画面を埋め尽くすおびただしい数のマークで埋め尽くされている。

部下E「隊長?どうしたんですか?」
念話能力を増幅する通信インカムからは―――録音のように同じ声が繰り返し聞こえていた。




部下E「隊長?どうしたんですか?」
あの扉の先に私の部下はいない、私は確信すると同時にある事を思い出した。
はやてと呼ばれる少女とクロノ執務官達の最後の念話だ。

はやて『(あかん方向も見んととにかく逃げてきたから……ここはブリッジの近く……?)』

そう、そして彼らはブリッジへ向かった。その後格納庫へ向かったが既にそこは襲われていた。
そうか……あれも……!

私「総員、構えろ」
既に臨戦体制の部下達に指示を出し扉を開ける、そこには―――――"アレ"がいた。

その瞬間通信インカムとアレから同時に声が発せられる。
部下E「隊長?どうしたんですか?」
■「タイチョウ、ドウシタンデスカ」




私「―――撃て」
無感情に言い放つと部下達が放った前後左右上方からの誘導操作弾がアレを襲う。
そうして逃げ場を断った所で私は直射線上にいるアレに魔法を放つ。
私「吹き飛ばせ!!」
デバイス<Burst Blast>
ドゴオオオオオォォォォォン!
だがそれで倒れる相手でないことは先刻承知だ。
私「散開!」
ガガガガガガガガッ
爆煙の中から1秒前まで我々がいた位置に伸びてくる攻撃。
だが既に部下達が左右と後ろからチェーンバインドを、さらにその上からリングバインドを仕掛けている。
ドスッガスッ!
動けないアレを槍撃魔法で床に釘打つように拘束する。だが追撃はしない。
私「離脱する!」
今は少しずつでもアレが何であるかを探るのだ、いつかは必ず勝機が見えてくる……!




すぐに格納庫から離脱した我々はブリッジへと向かった。
部下「どれくらい時間を稼げるでしょうか……」
部下はすぐにでもアレが追ってくるものと身構えている。
私「いや、しばらくは足止めできるはずだ」
今まで観察してきて一つ妙なことに気付いた。
アレは魔力を求めて獲物を襲う、これは間違い無いだろう。だが何故必ず本体ごと吸収するのか?
直接相手のリンカーコアを強奪する方が断然効率的だ。だがそれをしない。
考え得る可能性は―――あれは魔力その物を直接吸収出来ないのかもしれない。
ならば蛇が卵を殻ごと飲み込むように本体ごと吸収するのも頷ける。
それこそ魔力収集型ロストロギアとして考えれば非効率的だがアレがそうじゃないとしたら?
本来は何か別の目的のためのロストロギアだとすれば説明がつく。
今アレは体内に直接魔力を撃ち込まれた形で拘束されている、脱出まで多少時間がかかるはずだ。

私「急いで本局に連絡を!」
部下「だ、ダメです隊長!通信システムが破壊されています!」




通信システムを破壊、だと?
施設を物理的に破壊するのではなくシステムを破壊する。これが意味する事は―――
私「どうやら我々は手の平で踊らされていたようだな……」

先入観が植え付けられてしまっていたようだ。
システムに介入して破壊するような芸当が化け物にできるものか。
無秩序な襲撃、緩慢な動作、本能のみで動いているように見えたのは……アレ、いや奴の演出か。

私「修復は可能か?」
部下「一部ではなく完全に破壊されています……不可能です」

どうやら我々も孤立してしまったようだ。まるで映像の中で見た彼らの後を追っているようだ。
これで逃げ道は無くなった、か……上等じゃないか。
私はこの背水の陣で奴と戦う決意を新たにした。




私は改めて現状を分析する。
まず格納庫の状況だ、あそこにいたE班の部下は……全滅と見ていいだろう。
退避したならば連絡があるはずだ。同様に定時連絡が絶えた他の班も絶望的か……
だが腑に落ちない、奴は部下の声を模写していたのだ。
ならばクロノ執務官の時と同じく本人に成りすまして我々を騙まし討ちする事も可能だったはずだ。
しかしそれをしなかった……できなかったのか?
考えてみれば奴が模写したのは声だけだ、少なくとも記録映像でも姿まで擬態した様子は無い。
断定はできないがその可能性は高いだろう。

問題は奴を倒す方法だ、実際攻撃が通ってはいるもののダメージが蓄積された様子は見られない。
と言うより顔も何もあったものではないのでどの程度ダメージを与えているのか判別できないのが本音だ。
そこで一つ気になったのが「直接魔力を吸収できない」という一点。
できないからには直接魔力が体内に入ってはいけない理由があると言う事、それこそが勝機だ。





私「奴の所在はわかるか?」
部下「ダメです、エリアサーチにもかかりません」
やはりダメか……奴の奇襲がことごとく成功したのは獲物に感知されないという点に尽きる。
魔力反応を隠せるのか先ほど対峙しても物理的気配だけで魔力を感じられなかった。

私「よし、今度は我々から仕掛けるぞ」
私は部下に作戦の概要を説明しブリッジを後にした。

フォーメーションを組み前後左右上下を警戒しつつ奴を誘うように艦内を移動。
だが今度は奇襲でもなんでもなく、奴は通路の奥からゆっくりと姿を現した。

私「随分と舐められたものだな……行くぞ!」
この狭い通路だ、今度は引くことは出来ない。
我々が奴を倒すか、それとも先人と同じ運命を辿るか、そのどちらかしかないのだ―――!


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